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【Dreamforce 2025 Day3】サンフランシスコでの学びと、「Customer Zero」からの再出発
皆さん、こんにちは。クラウドソリューション部の中居です。
先週開催されたDreamforce 2025への参加を終え、無事に帰国いたしました。
少し落ち着いてサンフランシスコでの時間を振り返り、この記事を書いています。
本記事では、最終日であるDay3の出来事にも触れつつ、クラウドソリューション部の一員として、特に「開発部門の目線」で今回のDreamforceから何を感じ、これから何を考えていくべきかという点に絞ってお伝えしたいと思います。
晴天のサンフランシスコ観光
あっという間のDreamforceでしたが、最終日の午前中は少しだけ会場を離れてサンフランシスコらしい空気に触れてきました。
向かったのは定番のフィッシャーマンズワーフ。
晴れ渡った青空の下、遠くにはアルカトラズ島、そしてゴールデンゲートブリッジも霧がなくくっきりと見渡せ、最高の天気でした。

(晴天のフィッシャーマンズワーフから望む、ゴールデンゲートブリッジとアルカトラズ島)
イベント会場の熱気から離れ、穏やかな潮風を感じながら名物のクラムチャウダーを味わい、「ピア39」では気持ちよさそうに日光浴をするアシカの群れに癒されました。

(絶品のBoudinクラムチャウダーで、サンフランシスコの味を満喫)
この美しい景色の中で、世界中から集まった人々が最新テクノロジーに熱狂している、その対比が非常に印象的でした。

(ハロウィンムードに包まれた街並みも、サンフランシスコの魅力の一つ)
「Japan Wrap-up」で捉え直す、SalesforceのAI戦略
最終日には、Salesforce Towerで開催された日本人参加者向けのラップアップイベント「Japan Wrap-up」に参加しました。
3日間で浴びた膨大な情報を、日本市場の視点から整理・解説していただく貴重な機会となりました。

(日本人参加者向けイベント「Japan Wrap-up」が開催されたSalesforce Tower ※写真右側のビル)
特に印象深かったのは、Salesforce自身の大きな方針転換と、現実的なAIへの取り組み姿勢です。
製品名から「Cloud」という言葉を意図的に外したことからも、Salesforceが単なるクラウドソフトウェア企業ではなく、「AIカンパニー」へと本気で舵を切ったという強い決意が伝わってきました。
一方で、昨年のDreamforceでAgentforceが発表された時のような夢を語る大きな発表は、今年のメインキーノートでは少なかったように感じます。
しかしそれは後退ではなく、むしろこの1年で得た学びや、多くのPoC(概念実証)の失敗経験を踏まえ、企業がAIを「現実的に」「確実に」活用するための施策に注力していることの表れだと感じました。
AIを機能させる上でコンテキストがいかに重要か、という点が繰り返し強調されていたのも、その一環でしょう。
※メインキーノートの様子はYoutubeでご覧いただけます:Salesforce Dreamforce 2025 Main Keynote
Agentforce Vibesがもたらす開発の未来:期待と課題
今回のDreamforceで特に注目を集めていたのが、AIを活用した新しい開発プラットフォーム「Agentforce Vibes」です。
以前から発表はありましたが、今回より詳細な情報が公開され、私も会場のハンズオンで実際に体験することができました。
これは自然言語での指示に基づきSalesforce組織のメタデータ(コンテキスト)を理解した上で、コード生成からテスト、デプロイまでを自律的に行うAIコーディングエージェントを中核としたもので、開発の自動化に向けた大きな一歩です。
会場で実施したハンズオンでは、あらかじめ用意されたAIへの指示文を数回コピー&ペーストするだけで、プログラムの開発から環境へのリリースまでが完了。
ゼロから開発画面がリリースされるまでのスピード感に、改めて驚かされました。

(AIコーディングエージェント「Agentforce Vibes」のハンズオン体験)
この体験から見えてきた期待されるメリットは、開発生産性の飛躍的な向上です。
その最大の利点はAgentforce Vibesが一般的なVibe Codingと異なり、Salesforce組織固有のメタデータを深く理解している点にあります。
オブジェクトやコードはもちろん、Flowのようなローコードのメタデータまで把握しているため、組織のルールに即した最適な実装をAIが提案してくれます。
さらに、AIエージェントが外部と連携するための標準プロトコルであるMCP(Model-Controller Protocol)に対応していることも重要なポイントです。
MCPサーバーを介することで、AIはSalesforceの開発ツール群や外部システムのAPIを呼び出すといった連携処理も自律的に実装できるようになります。
これにより、開発者はより創造的で付加価値の高い業務、例えば複雑なビジネスロジックの設計やお客様との要件定義などに集中できるようになるでしょう。
しかし、これは同時に乗り越えるべき課題も示唆しています。開発者の役割も変化するという課題です。
もちろん元々コードを書くだけではありませんでしたが、AIの活用で「コードを書く」「クリック&ドラッグで設定する」といった作業は減り、「AIに的確な指示を出し、生成されたコードをレビューして品質と妥当性を判断する」という役割の比重が高まります。
AIが生成したコードを鵜呑みにせず、それが本当に正しいかを判断できる深い業務知識や技術的な洞察力、そして「AIを適切に監督する能力」が不可欠になります。
AIの力を最大限引き出しつつ、最終的な品質を担保する総合的な判断力の重要性が、むしろ増していくのではないでしょうか。
この総合的な判断力は、一朝一夕に身につくものではありません。
要件定義や開発といった実務経験を通じて培われる部分も大きいからこそ価値があり、人間が経験から学ぶ機会とAIによる自動化、このバランスをどう取るかが今後の大きなテーマになると感じています。
こうした変化にチームとして対応していくためには、まず私自身がAIを深く理解し、率先して活用していくことが必要不可欠です。
その上で、若手メンバーにはAI活用スキルや批判的評価能力を、ベテランメンバーには新しいスタイルへの柔軟な適応を促せるよう、組織としての育成体系や文化を模索していく必要があると感じています。
まとめ:私たち自身の「Customer Zero」としての再出発
Dreamforce 2025を終えて、今強く感じていること。
それは、私たちは今までの延長線上とは異なる変化、いわば"ゼロスタート"を切らなければならないということです。
Salesforceは自らを「Customer Zero」と位置づけ、まず自分たちの業務で徹底的にAIを活用し、その学びをお客様に還元しようとしています。
私たちも同様に、まず自分たち自身がAIと共に働くことを前提とした業務プロセスや価値提供のあり方をゼロベースで見直し、その経験をお客様に展開していく必要があるのではないでしょうか。
AIと共に未来を創っていくために、私たち自身がまず最初の成功事例、「Customer Zero」となる。
そんな決意でサンフランシスコでの学びを社内に持ち帰り、具体的な一歩を踏み出したいと思います。
非常に刺激的で多くの示唆に富んだ3日間でした。
最後になりますが、今回Dreamforceに参加するにあたり、準備段階からいくつかのブログ記事を連載させていただきました。
今後も、今回の学びを社内で実践していく様子や、Salesforceの最新情報などを継続して発信していきたいと考えておりますので、引き続きお付き合いいただけますと幸いです。
この記事を書いた人
中居郁也
中居郁也
株式会社キットアライブ 取締役 クラウドソリューション部長
大学卒業後に家具店勤務を経て2018年に入社し、2025年4月に取締役に就任しました。
趣味は音楽で、主にトランペットを吹いていますが、最近はブラジル音楽の打楽器にも挑戦しています。
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