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NEW 2026.10.09 カルチャーイベントレポート

「望まないUターン」が開いてくれたキャリア【NoMaps2026 CAREERセッションレポート】

はじめに

こんにちは。株式会社キットアライブ 取締役管理部長の内田みさとです。

2026年9月25日、札幌の北洋銀行本店セミナーホールで開催された「NoMaps2026」のCAREERセッション「北海道だから見つかる『本当の働きがい』~U・Iターンの先輩たちに聞く、『北海道で働く』という選択~」に登壇いたしました!

セッションの冒頭で紹介されたのが、北海道の大学生の約4割が道外で就職しているという現状です。U・Iターンを経験して北海道で働く3人が、なぜ北海道を選んだのか、働いてみて何が変わったのかをお話ししました。

実は私自身、帰ってくるつもりのなかった「望まないUターン」組です。当日お話ししたことを中心に、セッションの様子をレポートします。

ご一緒した皆さん

  • 大久保 航也さん(東北海道ソルプレーサ十勝 代表取締役CSO ほか):帯広市出身のUターン組。十勝でスポーツクラブの経営を軸に、行政との連携事業や学校教育にも取り組まれています。
  • 鈴木 宏一郎さん(株式会社北海道宝島旅行社 代表取締役社長):北九州市生まれのIターン組。海外のお客様向けに、北海道専門のオーダーメイドツアーを手がけていらっしゃいます。

モデレーターは北洋銀行の土橋 虹華さんと、北星学園大学3年生で株式会社NEXT INCEPTIONの磯部 優大さんが務めてくださいました。

「私のキャリアはここで終わる」と思ったUターン

私は深川市の農家で育ち、兄2人と同じく道外の大学へ進学しました。山梨県の大学を卒業して東京で就職し、個人向けの営業職を経て株式会社テラスカイに転職。営業事務として「このままIT業界でやっていこう」と思っていた矢先に、母が亡くなりました。

北海道で父が1人になってしまう。そう考えてUターンを決めたとき、正直な気持ちは「私のキャリアはここで一旦終わるんだ」でした。北海道の営業職の求人は運転免許必須のものが多く、ペーパードライバーだった私は本当にどうしようと思っていたんです。

そんなときテラスカイの佐藤社長が紹介してくれたのが、札幌で立ち上がったばかりのキットアライブと、社長の嘉屋でした。

キットアライブはSalesforceでのシステム開発に特化した札幌のIT企業です。会社ができて半年後に入社した私は、エンジニア採用、そして手探りでのIPO準備を任されました。IPOの責任者として30歳で取締役に就任し、2022年には札幌証券取引所アンビシャス市場への上場を果たすことができました。

一般の事務員が入社から数年で取締役になる。東京にいたらまずなかったキャリアだと思います。望まないUターンが、結果としてキャリアを大きく開いてくれたんです。

「会社の当事者」になった瞬間から、仕事が変わった

最初のテーマは、仕事の中で楽しさややりがいを感じる瞬間。キットアライブで社長と「この会社をこれから大きくしていこう」と話したとき、まだ一社員だった私が「自分はこの会社の当事者なんだ」と思えたんです。そこから仕事がぐっと楽しくなりました。私の原動力は何とかしようとする、その繰り返しなのかもしれません。

今年10周年を迎えるキットアライブで、私が出せた大きな成果の一つは上場です。心からよかったと思うのは、社員から住宅や車などのローンが必要な大きな買い物をしたと聞いたとき。まだまだ小さな会社ですが、上場企業として社員の暮らしを支えられるようになったことが本当にうれしいんです。次のミッションは、社員のご家族が「あの会社、知ってるよ」と言ってくれるところまで知名度を上げることです。

大久保さんの「社員の人生が会社と一緒に乗っていると感じると、もっと頑張らなきゃと思う」というお話には、深くうなずいてしまいました。鈴木さんのやりがいは、観光地ではない農山漁村に海外のお客様をお連れし、地元の方が「うちの町ってすごいんだ」と誇りを持つ姿を目の前で見られること。農家育ちの私は外から見たときの価値を知らずに東京に出てしまった人間なので、考えさせられるお話でした。

「北海道に残る人は……」という思い込みを手放したとき

次のテーマは、北海道で働くことへのマイナスイメージ。土橋さんからは「情報の格差」「業種の少なさ」「給与水準の低さ」が挙げられ、磯部さんからは、道外に出る4割の中には、キャリアに前向きな学生が多いのに、年収などの表面的な条件だけで判断してしまっているのでは、という指摘がありました。

私自身、帰ってくる前は心のどこかに「北海道に残っている人は、キャリアにあまり前向きではないのでは」という思い込みがありました。

それを変えてくれたのが、社長の嘉屋です。嘉屋は札幌で育ち、札幌で就職し、初めての転職が起業という、北海道の中で働き続けてきた人です。北海道が好きで、道外に出ていく同級生の話を聞いてすごく悔しかった。そう話してくれたとき、「北海道だから」と決めつけていたのは、私自身だったのかもしれないと気づきました。

一度東京に出たことは、今でもよかったと思っています。でもそれ以上に大事なのは、東京に出なくても可能性を広げられる環境を、北海道で実現していくこと。北海道で頑張っている人たちの姿は、ネットやAIだけではなかなか見えてきません。人と人をつなぐ力が強い地域だからこそ、実際に来てもらい、人がつながる場をつくっていくことが大切だと感じています。

大久保さんは「ないなら作ればいい」という発想で十勝で起業したこと、鈴木さんは、自分が何をしたいのかという軸がしっかりしていれば北海道でも十分に実現できることを話されていました。

札幌は「ちょっと頑張れば」チャンスがどんどんやってくる

話の中では「ぬるま湯」という言葉も出ました。東京には、チャンスを自分から取りに行こうとする人がたくさんいます。そんな東京から札幌に来て私が実感したのは、「それ、私がやってみてもいいですか」と一言手を挙げるだけで、いろいろなところから声をかけていただけるということ。チャンスがどんどんやってくるんです。

一方で大久保さんからは、競争が起こりにくい地域では今の立ち位置に満足してしまうリスクもある、という指摘も。チャンスをつかみやすい環境と慢心しやすい環境は表裏一体で、どちらの視点も大事だと感じました。

「北海道に貢献したい」の、その先へ

続いてのテーマは、北海道の強みをどう生かして事業を伸ばしていくか。鈴木さんは観光を「外貨を獲得する産業」と位置づけ、観光事業者だけでなく地域全体にお金が回る仕組みをつくっていきたいとお話しされていました。

採用の責任者として、私がお話ししたのはこんなことです。
面接で学生さんから「北海道に貢献したいです。御社は北海道でどんなITをやっていますか?」と聞かれることがよくあります。その気持ちはとてもうれしいです。ただ、北海道の中だけで完結していては、成長に限界があるとも感じています。キットアライブでも道内のお仕事を大切にしながら、道外のお客様とのお取引も大きな割合を占めています。

だから、「北海道への貢献=北海道の中だけで何かをすること」とは思ってほしくないんです。どこからお金を持ってきて、北海道にキャッシュを生むのか。その視点を持つことが大切だと思っています。

そして、とりあえずやってみることができる人は強い。北海道にはやらせてくれる環境がたくさんありますし、利害関係なく人と人をつないでくださる方がとても多いんです。やりたいことがまだ決まっていなくても大丈夫。「何かやらせてもらえることはありますか?」と飛び込んでくれる方が北海道で働いてくれたら、本当にうれしいです。

キャリアの核は「まずやってみる」

最後のテーマは、これからキャリアを選んでいくうえで核として持ってほしいこと。

私の答えは、やはり「まずやってみる」です。朝一番の基調セッション「北海道を『働きがい』のある地域にするには?」でもお話があったように、ポテンシャルがあることを証明するには、実績を見せるしかありません。まずは与えてもらった仕事で成果を出すこと。やってみる前から「条件が合わない」と言ってしまうと、任せてくれる人はいなくなってしまいます。

北海道は、この「やってみる」をさせてくれる環境として本当に恵まれています。人の力が求められている地域だからこそ、失敗しても「もう1回やってみて」と言ってもらえることが多いんです。

大久保さんは「自分がどうなりたいか」と「地域に対して何ができるか」を考え続けること、鈴木さんは「セルフプロデュース」をキーワードに、これまでの人生の中からやりたいことのヒントを見つけ、小さく試してみることの大切さを話されていました。

最後に

帰ってくるつもりのなかった北海道で、私のキャリアは思ってもみなかったほど大きく開きました。ほかの登壇者の皆さんのお話を聞きながら、改めて北海道は「やってみる」人にチャンスをくれる場所だと感じています。

登壇の機会をくださったNoMapsと北洋銀行の皆さま、モデレーターの土橋さん・磯部さん、ご一緒した大久保さん・鈴木さん、そして会場にお越しくださった皆さま、本当にありがとうございました!

なお、昨年のNoMapsでは社長の嘉屋がDE&Iラウンジに登壇しています。その様子はこちらのブログでレポートしていますので、あわせてご覧ください。

キットアライブでは、「まずやってみる」を一緒に楽しめる仲間を募集しています。少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ採用ページをのぞいてみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

この記事を書いた人

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内田みさと

内田みさと

株式会社キットアライブ取締役管理部長として、バックオフィス業務全般の統括をしています。

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